丸善150周年

その時私は袂の中の檸檬を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。私は手当たり次第に積みあげ、また慌しく潰し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。

梶井基次郎『檸檬』(新潮文庫)





西











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丸善の歩み

いつの時代も知に寄り添い、
ともに歩んできた丸善の
150年の歴史を辿ります。

丸善と私

著名人の方々からいただいた
丸善へのメッセージを
ご紹介します。

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